店舗前の行列が絶えない「吉宗(よっそう)」。長崎人ならお馴染みの老舗のお食事処です。土足厳禁の2階に上がる時に靴を脱ぐとお世話係のスタッフさんが、靴置き用の木札を「カンカン!」と鳴らして2階スタッフに「お客様が上がるよ!」と、お知らせするのも昔から続く吉宗の風景です。私もお祝いの席は「吉宗」で食事をしていたものです。

吉宗の名物料理は蒸し寿司茶碗蒸しの2大巨頭。「茶碗蒸し?」と侮るなかれ、注文したアナタは確実に未知との遭遇を体験できます。

そんな吉宗、行列が多く断念する方もいるかと思いますが、行列の待ち時間を最小限に少なくして茶碗蒸しにありつく方法があるのです。今回は絶対外してほしくない吉宗のメニューと、行列を最小限にして入店する方法をご紹介します。

吉宗の簡単ワンポイント基礎知識

吉宗(よっそう)は慶応二年(1866年)に長崎市万屋町で、吉田宗吉信武氏が茶碗むし、蒸寿し専門の店として創業。””田””吉信武から屋号「吉宗」となったようです。七代目店主の名前も「吉田宗由」さすが!名前も継承してらっしゃいます。

今でこそ「茶碗蒸し専門店?」と思う方もいるかも知れませんが、薩長同盟があった慶応二年、当時は茶碗蒸しや蒸し寿司の原料となる卵や砂糖など手に入りにくい貴重品で、茶碗蒸しや蒸し寿司とも高級な食べ物だったからこそ、専門店として創業されたのかも知れません。

味のある外観が特徴の吉宗
茶碗蒸しの吉宗の外観夜

絶対注文して欲しい。吉宗の茶碗蒸しと蒸し寿司

入店すると非常に歴史ある佇まい。2階へと続く赤い絨毯は私達、長崎市民には懐かしさを覚えてしまいます。

お一人様の場合は1階のカウンター席、2名様以上だと1階テーブル席か2階の座席に案内されます。

吉宗の提灯が並びます
吉宗の内部レトロ感あり

やはり初めて吉宗に訪問するなら、看板メニューの「茶碗蒸し」と「蒸し寿司」を注文して欲しいです。いずれも単品の注文が可能ですし、セットメニューも存在しています。

今回は小鉢やデザートなどが付いた「茶碗蒸し定食」をオーダー。ボリュームを気にされる方には、茶碗蒸しと蒸し寿司のみの「御一人前(おひとりまえ)」などが良いかも知れません。

実食、吉宗の茶碗蒸しと蒸し寿司

待つことしばし。お盆の上に2つの丼が登場しました。そうなのです、吉宗の2つの名物料理は「どんぶり」で登場する大きさ。「どんぶり」以外も季節の果物、サザエ、煮物、小鉢など見た目も色味も美しく華やかな定食です。

大きな丼が特徴の茶碗蒸し定食。でかかねぇー
吉宗の茶碗蒸し定食

そしてパカッと丼の蓋を開けると・・・茶・桜・黄の三色の蒸し寿司と2色ナルトとお麩が乗った茶碗蒸し。この色味のバランスを「神々しい」と言うのです。

茶碗蒸し定食パカッ
吉宗の茶碗蒸し定食開けた所

まずは茶碗蒸しから。レンゲで一口すくい上げるとプルンッと具材が乗ってきました。成人男性の手の大きさと茶碗蒸しを比較すると、その大きさがお分かりかと思います。

レンゲの上でナルトが渦巻き穴子が泳ぐ
大ぶりの吉宗茶碗蒸し

パクっと一口。長崎らしく少し甘めの出汁の香りと味が口いっぱいに広がります。続けざまに二口目。そして無言で三口目。出汁の風味と味が美味くて止まりません。

茶碗蒸しの温度も高すぎず、低すぎず。たまに口の中を火傷する熱々の茶碗蒸しがありますが、吉宗の茶碗蒸しは心地よい熱さです。

だからなのです、無言で何口も食べ続けたくなる。いや「食べる」ではなく「飲む」が近い表現なのです。ここ吉宗の茶碗蒸しは飲み物!と宣言したい、生地のキメの細かさと溢れ出る出汁。※具材はチャント噛んでね!

実際に食べ進めると、茶碗蒸しに黄金色の出汁が浮き出してきました。
出汁ほとばしる吉宗の茶碗蒸し

この巨大茶碗蒸し。具材も豊富で超贅沢。銀杏、しいたけ、エビ、鶏肉、竹の子、お麩、きくらげ、2種類の蒲鉾、穴子の豊富で大ぶりの具材がドンッと入っています。巨大、ばんざい!

次に三色蒸し寿司。穴子のそぼろ、たらの桜でんぶ、錦糸卵。昔からあるシンプルなお寿司の具材です。こちらも一口パクリ。長崎らしい甘い味付けの穴子そぼろとご飯がマッチ。

最強の三色の蒸し寿司
3色の蒸し寿司

お行儀が悪いかも知れませんが、お寿司を一口、茶碗蒸しを一口、一緒にモグモグ。あぁ幸せ。長崎の味です。茶碗蒸しプールがあったら飛び込んでススリたい。

交互に口に運ぶ幸せを更に加速させる小鉢群。今回は鶏レバーの甘露煮と里芋とがんもどきの煮物、サザエ、卵焼きに昆布締め。デザートに栗ようかんと梨が並びます。

脇を固める小鉢群
茶碗蒸し定食の脇役たち

茶碗蒸し定食の脇役たち

店内の様子、プルプルの茶碗蒸しはこちらから

行列必至の吉宗の攻略方法

さてココからが本題。行列を極力少なくして食事にありつく方法。まずは開店直前の少し早めに訪問する。これは効果的です。

また14時など少し遅めの時間を狙う。カナリの確率で並ばないで食事にありつけます。そんなの当たり前でしょ!と思われた方。行列する時間があるなら待っている時間に長崎観光を入れた方がよっぽど効果的です。

そしてもう一つ行列を避ける方法があります。それは長崎に来航してくる、クルーズ船船の日程を避ける事。長崎には年間300隻のクルーズ船が来航しています。乗客は中華系や欧米系。お店の方に伺うと中華系のお客が多いとの事。

団体客で入店する可能性が高く、そのうえ英語や中国語のお客に店舗スタッフも慣れている訳でもないでしょうからゼスチャーなどで注文のやり取りをすると、通常乗務以上に時間を割かれてしまうと推測できます。

そうなると出来る限りクルーズ船が長崎に入港しない日程で、11時の開店を狙う。もしくは少し遅めの14時もしくは夕食には少し早い16時から17時くらいにアタックしてみるのはどうでしょうか?

吉宗の混雑具合を観察して混んでいたら浜の町アーケード内の喫茶店で時間を潰す方法もありますが、時間を潰すくらいだったら、ギリギリまで観光に時間を充てて、混み合う時間を外して訪れると観光時間を有効に使えると思います。

ただし「長崎おくんち」「長崎ランタン・フェスティバル」の時期は激混みが想定されます。このルールでも厳しい可能性が。それでも訪問したい場合は開店直前から早めに行かれるのが行列時間を短くでる方法と思います。

クルーズ船の入港日程と自分の長崎旅行日程を確認したい方。「長崎港湾漁港事務所」のサイト内にクルーズ船入港予定の日程が記載されていますので、そちらをご確認ください。
クルーズ客船の寄港状況

気に入った吉宗メニューを自宅で味わうには?

実際に吉宗に訪問して長崎の味を気に入った方、すぐ横の角に吉宗お土産販売所がありますので、覗いてみてはどうでしょうか?自宅でまた吉宗の味を堪能できます。また公式サイトからネット通販が対応しています。

自宅でも出会える吉宗の味
吉宗のお持ち帰り販売書

長崎吉宗のアクセス方法

吉宗を未体験の方でこの記事を読んでご興味をお持ち頂いた方、以下が長崎吉宗のアクセス方法となります。また詳しい情報は吉宗の公式サイトからご覧ください。

住所:長崎県長崎市浜町8-9
電話:095-821-0001
営業時間:11時~21時(20時オーダーストップ)
定休日:第2火曜日・1月1日
路面電車:JR長崎駅から1号系統「崇福寺」乗車 約12分
    「観光通」で下車、アーケードに入り徒歩3分
公式WEBサイト