長崎を代表する銘菓の一つ「一口香」。膨れあがったまんじゅうのような見た目とは裏腹に噛むとサクっとした歯ごたえ。そして中身は空洞と言う不思議な形をした、和華蘭文化を受け継ぐ長崎らしいお菓子です。

「一口香」のルーツの説明に「中国伝来の焼き菓子。唐の禅僧や東シナ海を航海する中国人にとって貴重な保存食として日本に渡ってきた」そうですが、伝来元の中国ではどんなお菓子なのか?気になって調べてみました。

中国のネットショップで「一口香」を調査

我ら焼き菓子調査隊は中国のネットショップで「一口香」を検索。

しかし!検索にはヒットせず。調査3分で大きな壁にぶち当たった調査隊。むむむっ!行き詰まってしまったのでした。。。。がーん。

気分を改めもう一度、日本の記事を調べなおすと「一口香」の名称は茂木一まる香本家の初代、榎市衛門が「一口食べて香ばしいので”一口香”と名付ける」と言う記述があるではありませんか!ちなみに佐賀では「逸口香」と呼ばれ愛知県でも同類の食べ物があるそうです。

「一口香」の名前は日本由来。そりゃ見つからない訳だ。

そのため調査隊は調査方法を変更。「一口香」の写真で画像検索に切り替えた所、ついにお宝を発見したのです!

中国で「一口香」の呼び名は「空心餅」や「桂花餅」

中国での表記は「空心餅」の呼び方が一般的で調べると「山西省」の伝統銘菓とのこと。ウィキペディアにもそのような説明があります。

また五島うどんのルーツでも紹介した浙江省にある衢州 (qu zhou) 市では「空心餅」の一つの種類「桂花餅」として販売されていました。「空心餅」で探すと、イコール「桂花餅」で検索がヒットするほど。

「空心餅」は平たく言うと、「内部が空洞になった小麦粉をこねて作った食べ物」の意味。中国で「餅(bing)」は、日本の「餅(もち)」とは違い、小麦粉をこねて伸ばして平たくして蒸したり焼いたりした食べ物の総称を指します。

また「桂花餅」は餡の中に「桂花(金木犀の木犀)」の花を用いているそうです。

今回は山西産の「空心餅」が見つからなかったので、浙江省衢州産を試食のためポチッと購入してみました。

「一口香」のふるさと、中国の「空心餅」を実食

ネットで注文した「空心餅」は400キロ離れた浙江省衢州より翌日には上海に到着!パッケージには「空心餅」の表記と「衢州特産 手作り炭焼き」の文字が。

長崎の中が空洞のお菓子「一口香」の中国版

なかなかお洒落なパッケージ

箱をパカッと開けると行儀よく9つの「空心餅」が並んでいます。

中国で購入した「空心餅」

袋詰された「空心餅」

そして袋を開けてお皿にIN。表面はこんもりドーム状。

一口香に瓜二つの中国焼き菓子

波佐見焼のお皿に置いた「空心餅」

裏面はびっしりと胡麻が敷き詰められています。どーでしょうか??この佇まい、焼き目などの見た目は違うものの、ほぼほぼ「一口香」と同じなのでは??

中国伝来の中身が空洞のお菓子

裏面はびっしり白胡麻

見た目は長崎が洗練されているかも知れませんが、こちらはこちらで原型の素朴さがあります。

そして肝心の中身は、当然ながら空洞。会いたかったよ、お兄さま!

中身が空洞の長崎菓子の伝来品

中国でも中身は空洞さ。いぇーい。

食感はサクサクではなく「ソフト一口香」的な感じで、年配の方でも楽しめそうな硬さ。白胡麻は大変香ばしく、餡に含まれる木犀の香りは私の鈍感鼻では正直感じられませんでした。ちょっと残念。

個人的な判断ですが、「一口香」は、伝来の話にある通り、こりゃ間違いなく中国から海を渡って来たのだな、とポリポリ食べながら噛みしめることができました。次回の帰国時は長崎の友人に食べてもらって比較してもらおうと思います。

長崎の「一口香」は通販でもお土産屋でも購入可能なお土産

長崎銘菓「一口香」は茂木一まる香本家さんの「ネットショップ」や長崎市内・長崎空港のお土産品コーナーには必ずある定番商品なので、手にとって見て下さい。

長崎お土産品バナー

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